東京地方裁判所 昭和54年(タ)379号 判決
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【判旨】
二次に認知の準拠法につき検討するに、法例一八条によれば認知の許否その他認知の要件は、認知の各当事者についてそれぞれその本国法を適用すべきところ、本件において、弁論の全趣旨によれば原告が日本国民であり被告がオーストラリア連邦の国民であることが認められるから、原告については日本の法律、原告が父であると主張する被告についてはオーストラリア連邦の法律によつて、本件認知の要件が定められるべきであるが、オーストラリア連邦は地方により法律を異にする国であるから、法例二七条三項により被告については被告の属するオーストラリア連邦内の州の法律が適用されることになる。
ところが、オーストラリア連邦の各州法においては一般に、強制認知を許した規定若しくは反致を認めた規定の存することはこれを認める何等の資料もない。しかしながら、我国においては、嫡出でない子がその事実上の父を戸籍上明確ならしめるとともにその者との間に扶養、相続等の法律効果を伴う法律上の父子関係を生ぜしめるには、その認知を受ける以外に方法がないから、認知の訴を認めることは当該非嫡出子にとつてのみならず、公益的見地からも重大な意義を有するものというべきであり、認知の訴を許さないことは我国の公序良俗に反するものといわなければならない。
従つて、法例三〇条の規定の趣旨に則り、本件においては、結局すべて日本民法を適用すべきものと解するのが相当である。
(牧山市治 押切瞳 池田光宏)